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1年で120種類の鳥と出会うことは本当に可能なのか? |
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10月は「渡ってゆくタカの大群に感動!」 |
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場所:静岡県熱海市伊豆スカイライン多賀パーキング付近
日付:2006年10月7日(土) |
読者の皆さん、こんにちは。BIRDER編集部のヒヨ吉です。(^o^)ノ
「1年で120種類の野鳥と出会える本(文一総合出版)」で、10月のポイントはタカの渡り観察。それならば愛知県伊良湖岬が長野県白樺峠でしょ! と計画を練ったのですが、東京の編集部からはなかなか遠く、時間の都合がつきません。うーん、どうしようと悩んでしまいました。(´・ω・`)……
でも、タカは伊良湖岬と白樺峠だけを渡っているわけではないはず。きっと、北日本で繁殖したサシバやハチクマはヒヨ吉のいる東京近郊も渡っているはず……。それほど東京から遠くない場所で、見晴らしのいい峠や岬を探せば、ひょっとしたら「自分だけのタカの渡りスポット」を見つけられるのでは? と考えました。
早速地図を広げて適地がないかを調べてみました。伊豆半島を南北に通る伊豆スカイラインの多賀パーキングというところが展望スポットと書いてあります。
おお、社員旅行で10月に伊豆に行く予定だし、これは渡りに船ということで、この地を今回のヒヨ吉観察ポイントにしました。パーキングにつくと、前日の台風で大荒れの天気がうそのように晴れ渡り、遠くは三浦半島や房総半島、伊豆大島や三宅島が一望できました(写真1)。
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写真1:台風一過で風はあるものの、眺めは最高! |
台風の忘れ物のような海から上がってくる風をうまく捉えてトビが気持ちよさそうに舞っていました(写真2)。
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写真2:トビが風の存在を教えてくれます |
観察道具をセットし、タカを待っていると、カケスが数羽の群れで、ぽつぽつと越えて行きます。留鳥のイメージが強いカケスですが、渡りもしているのですね。
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写真3・4:ふわふわと頼りない感じのカケスの飛翔ですが、想像以上に長距離も渡っているみたいです |
ふわふわと飛ぶカケスの下を、すいすいとツバメが流れています。その中に腰が薄いオレンジのコシアカツバメもいました! おお、これは今年初めて見る鳥です。
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写真5:コシアカツバメ |
よく見ると、ツバメだけだと思っていた群れの中には、アマツバメやイワツバメもいました。
東方にある神奈川県三浦半島では、渡りをするサシバの群れが観察されているという情報が入り、いよいよ気持ちは高ぶりました。しかし、三浦半島からこちらへやってくる様子を見られるのかと思いきや、谷の中から不意に気流に乗って現れるものが多く、観察はできたもの、写真には一枚も収めることができませんでした。残念です……。
撮影の腕のなさにちょっと肩を落としはじめたとき、トビとは異なる尾羽の形をした猛禽が目の前を通過し、上昇気流に乗っていきました。おお、これはなに? そしてこれなら撮影できるかも!(写真6)
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写真6:よく見ると、トビとは翼の白い部分も微妙に異なっています |
真ん中が凹んでいるトビの尾羽とは明らかに異なる形。なんとハチクマ! あっという間に高度を上げて行ってしまいましたが、ハチクマと識別できる写真を撮影でき、感激のヒヨ吉でした。o(^_^)o
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写真7・8:気流をとらえてからは上昇が本当に早かったです |
タカの渡りの醍醐味を見た思いでした。
タカの渡りのメッカに行くことはできなくても、地図を広げて彼らの通りそうなコースを探るというのもけっこうおもしろいと思いました。また、タカだけでなく、ヒヨドリやカケス、ホオジロなどの鳥類の他、観察中にはアサギマダラやウスバキトンボなどもよく通過していきました。
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写真9:ヒヨドリ |
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写真10:ホオジロ |
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写真11:ウスバキトンボ |
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写真12:アサギマダラ |
最終的にハチクマは1羽、サシバは12羽、ハイタカ1羽でした。カケスが一番多くて167羽が渡っていきました。
タカの渡りだけでなく、ふつうの鳥たちも似たようなルートで移動していることを知った、そんな一日で、渡りゆく鳥たちに「来年の春また会おうね!」という気持ちで見送りました。そして、また彼らが「日本に帰ってきてよかった」と思ってもらえるような自然や環境を守らなければと感じた日でもありました。
タカの渡り |
ハチクマ1、サシバ12、ハイタカ1 |
渡りをしているのでは?と感じたほかの鳥たち |
コシアカツバメ、アマツバメ、イワツバメ、ツバメ、ホオジロ、カケス167、ヒヨドリ、ヤマガラ、コガラ |
そのほかに渡りをしていた生き物 |
アサギマダラ、ウスバキトンボ |
[追伸]
この台風で多くの海難事故が起き、尊い命が奪われました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。
出現鳥類数 |
20種 |
10月注目種達成種 |
4種 |
2006新・見聞種 |
4種 |
番外種 |
1種 |
達成率 |
50%(注目種53種類中) |
番号 |
出現鳥類名 |
300図鑑掲載頁 |
10月注目種 |
2006初見種 |
1 |
ハチクマ |
69 |
● |
● |
2 |
トビ |
70 |
● |
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3 |
ハイタカ |
76 |
● |
● |
4 |
サシバ |
78 |
● |
● |
5 |
キジバト |
169 |
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6 |
アマツバメ |
187 |
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7 |
ツバメ |
205 |
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8 |
コシアカツバメ |
207 |
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● |
9 |
イワツバメ |
208 |
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10 |
ヒヨドリ |
218 |
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11 |
ウグイス |
244 |
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12 |
エナガ |
263 |
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13 |
コガラ |
265 |
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14 |
ヤマガラ |
268 |
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15 |
シジュウカラ |
269 |
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16 |
メジロ |
272 |
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17 |
ホオジロ |
274 |
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18 |
カワラヒワ |
286 |
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19 |
カケス |
301 |
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20 |
ハシブトガラス |
308 |
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番外 |
ガビチョウ |
313 |
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