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ヒヨ吉が行く2007
バックナンバー2006
まえがき
1月 池や湖沼で
2月 海辺で
3月 家の周りで
4月 干潟や田んぼで
5月 新緑の山地で
6月 河原で
7月 高原で
8月 高山で登山
9月 田んぼで・秋
10月 タカの渡り
11月 冬のアシ原
12月 雑木林で野鳥
バックナンバー2005
ヒヨ吉読者の広場
中野さんからのメール

 

1年で120種類の鳥と出会うことは本当に可能なのか?


4月は「干潟や田んぼでサギの仲間やシギ・チドリを観察しよう」


      場所:茨城県稲敷市・千葉県習志野市(谷津干潟)
日付:2006年4月15日(土)



読者のみなさん、こんにちは。BIRDER編集部のヒヨ吉です。

1年で120種類の野鳥と出会える本」によると、4月の目標の鳥は「サギ類とシギ・チドリ類」。図鑑を見ると、サギ類はまだ自分でもわかりそうですが、シギ・チドリ類はすごく不安がありました。だって、みんなそっくりな色や形をしているし、声もはっきりした感じじゃなさそう。困ったなぁ、どうしよう。

そんな悩みを、2月にもお世話になったSワロフスキーのTさんに相談したところ、Tさんの地元である茨城県にくればいろいろ教えてあげるよと言われました。これは渡りに船、早速お願いすることにしました。当日は英国から仕事で日本に来ていた私の友達、マイクさんとリズさん(BIRDER誌2006年3月号掲載 英国アカトビ復活記事取材の際にお世話になりました)もいっしょに行くことになり、みんなで楽しくバードウォッチングすることになりました。前の晩は楽しみであまり眠れず……。なんか、小学校の遠足前夜のようでした。

さて、肝心の当日の状況ですが、今回はものすごい強風。前回の相模川探鳥で平和な観察(?)を知ってしまったが故に、その過酷さは何倍にも感じられました。風も北向きで、じっとしていると肌寒く感じるくらい。太陽は出ているのに、これじゃ真冬に戻ったみたいじゃないか!

でも、何かきっといるはずと一先ずTさんとの待ち合わせ場所の浮島の観察小屋前駐車場に到着。すると私に会うなりちょっと笑いながらT氏「今日は風がひどいからなんもいないぞ〜」。

写真1:茨城県稲敷市浮島のアシ原。広大な場所で感激!


「そんな殺生な〜。なんということをおっしゃるの〜!」

『120種を見るぞ!』という目標に、少しでも今のうちに多く見ておきたいヒヨ吉。シギチ以外で何か見たい。しかし、焦るヒヨ吉の横で、マイクさんとリズさんが何やら見つけて大はしゃぎしています。何か珍鳥いるの!? えっ? えっ!?

見ていたのはツグミでした。へぇ、ツグミが珍しいの?


写真2:英国では記録がほとんどなく、ヨーロッパでは珍鳥になるツグミ


マイク「ツグミは珍しいよ。ヨーロッパのバードウォッチャーには憧れの鳥なのさ!」
ヒヨ吉「(思わず)へぇ〜。」

そういえば、去年11月に英国にお邪魔したとき、ヒヨ吉がクロウタドリやワキアカツグミ、ノハラツグミを見てメチャクチャ喜んでいたのを見たマイクさんがとても不思議そうに見ていたっけ。あっちじゃ、かなり普通の冬鳥です。今度は私の番という訳か。

浮島名物、チュウヒも観察。英国ではチュウヒ(英国で見られるものはヨーロッパチュウヒと呼ばれ、別種の扱いをされています)も稀な鳥。アシの穂すれすれをスイスイ飛ぶ姿にマイクさんリズさんは思わずうっとり。時折、「ジュルジュルジュル……」というオオセッカという鳥の独特な声もしました。ここ浮島のほか、千葉県や茨城県の利根川流域や青森県仏沼に生息。世界に2,000羽程度とも言われていて、とても貴重な鳥です。声のみでしたが、うれしかったです。もちろん、マイクさんリズさんもご満悦。


写真3:マイクさん(左:チュウヒの飛行にウットリしているところ)と、記録をつけているリズさん(右)


その後、Tさんの案内で水の張られた田んぼにいたタカブシギやコサギなどを堪能。しかし、ここでもまたマイクさんは、別方向を見ながら大はしゃぎ。ヒヨ吉、ちょっと困惑。今度はなに?

双眼鏡で見るその方向にはムクドリ。ええ!? ムクドリ!? 日本中どこにでもいるのに!?

ムクドリを見るのは初めてとのこと。これからいっぱいいるから先に行こうよという誘いにも「まぁ、ちょっと待ってよ」と何度も頼むマイク。ううん、そうか。


写真4:芝生の上で餌を採るムクドリ


それにしてもシギ・チドリがいない当日。お昼ご飯を食べたときに、Tさんは「干潟の方がシギチはいるんじゃないかな。今日はたぶんそっちの方が賢明だよ」とのアドバイス。急きょ、予定にはなかった千葉県谷津干潟を目指しました。ところが!

到着するなりハヤブサが干潟上空を飛んでいて、それに興奮していたら、シギやチドリの群れは干潟から飛び去っていました。ようやく見つけたのは、ハマシギ4羽とダイゼン1羽。あーあ、今日は全然だめですねぇ。


写真5:たった4羽しかいなかったハマシギ。塩が満ちてきて、この後飛び去ってしまいました


と、そのときケッケッケと鋭い声。細長い嘴にすらっとした体。赤くて細い赤い脚。「120種」の本に出ていたセイタカシギ〜だ!!


写真6:赤い脚と白黒の模様がすてきなセイタカシギ


こんなバランスの取れた鳥がいるものかと思っていたのですが、やはりいました。谷津干潟では一年中見られるようですので、セイタカシギを見たい方はぜひ谷津干潟へ。ヒヨ吉が行ったときには干潟の南西側の部分に群れていました。

そんなセイタカシギから、カワウにふと目を移すと、なんと大きなウナギと格闘中! 15分ほどの格闘の末、ウナギを陸に揚げ、ゆっくりと丸呑み。でも、まだ苦しそう……。


写真7:(該当写真をクリックて拡大)体をくねらせて抵抗するウナギを少しずつ弱らせて伸びるようにする。その後、岸に引き揚げて頭を集中的にくわえる。ぐいっと呑み込んで、しばらくぼーっとしていました。呑み込んでも喉の中で動くウナギになんだかつらそうな顔をしていましたね


鳥がいない、いないと言い続けていたような1日でしたが、終わってみれば32種類も見ていました。しかも新しく見たのは10種類も!

それに、今日はカルチャーショックならぬ、バードショックの連発。外国の人といっしょに行くバードウォッチングは、ふつうの種類との出会いであっても今までにない新鮮さがある発見の連続で、とても楽しいものでした。


写真8:ヒヨドリを一生懸命撮影しようとするリズさん。ヒヨドリは日本周辺にしかいない、世界的には珍鳥なのです!


今回、シギ・チドリ類は全部で5種類とやや少なめでしたが、「120種」の本に寄れば、9月にもチャンスはある様子。次回までにシギ・チドリの識別の勉強をして万全体制で臨みます! 9月にリベンジ宣言!!!



4月出現鳥類リスト(茨城県稲敷市浮島周辺・千葉県習志野市谷津干潟)
出現鳥類数 32種
4月注目種達成種 16種
2006新・見聞種 10種
番外種 1種
達成率 21%(注目種46種類中)

番号 出現鳥類名 300図鑑掲載頁
3月注目種
2006初見種
1 カイツブリ 12
2 カワウ 22
3 ダイサギ 32
4 コサギ 34
5 アオサギ 36
6 カルガモ 49
7 コガモ 50
8 ヒドリガモ 54
9 オナガガモ 56
10 トビ 70
11 チュウヒ 83
12 ハヤブサ 84
13 オオバン 105
14 ダイゼン 115
15 ハマシギ 123
16 タカブシギ 131
17 セイタカシギ 145
18 キジバト 169
19 ヒバリ 203
20 ツバメ 205
21 ハクセキレイ 211
22 ヒヨドリ 218
23 ツグミ 243
24 オオセッカ 246
25 セッカ 256
26 コジュリン 275
27 アオジ 282
28 カワラヒワ 286
29 スズメ 298
30 ムクドリ 300
31 ハシボソガラス 308
32 ハシブトガラス 309
番外
ドバト

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