1年で120種類の鳥と出会うことは本当に可能なのか? |
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6月は「河原で水辺の鳥に親しもう」 |
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場所:東京都多摩市関戸橋付近
日付: 2006年6月25日(日) |
読者のみなさん、こんにちは。BIRDER編集部のヒヨ吉です。
梅雨でじめじめ、なんだかからっと晴れない日々の中、「目指せ 年間120種!」で、がんばっております (^o^)
中野泰敬氏著「1年で120種類の野鳥と出会える本(文一総合出版)」によれば、6月は「河原で水辺の鳥に親しもう」とのこと。今まで注目種の達成率が大きく変動しているヒヨ吉。なんとか100%を出せないものかと思案していたとき、ふと思いついたことが。
6月の目標で、見開きで使われている
この環境サンプル写真と同じ場所に行けば全部見られるのでは?
おお、ヒヨ吉、頭いい! 天才!(*゚∀゚)! …という訳で、著者の中野泰敬さんに電話をしました。
ヒヨ吉■「ねぇ中野さん、6月の見開きの環境写真はどこで撮ったんですか?」
中野さん「あ、多摩川と乞田川の合流点ですよ。
中野さん「大栗川の合流点や関戸橋周辺と呼ばれていることが多いですね。
中野さん「行き方はたしか本に紹介してありますよ」
観察ポイントの最寄り駅である京王線聖蹟桜ヶ丘駅は、家からいくつか列車を乗り継がなければいかれないのですが、そんなに遠くはありません。
「じゃ、今月は多摩川関戸橋で達成率100%をゲットしちゃおう〜!(^_^)g」な〜んて、かなりご機嫌な雰囲気で聖蹟桜ヶ丘駅に到着しましたが、空は今にも降り出しそう。ちょっと急いだ方がいいかもしれないと感じ、いつもより少し速く足を進ませました。
しばらく歩くと多摩川の河原が見えてきました。
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写真1:多摩川の架かる関戸橋。交通の要で、自動車がひっきりなしに通っています |
河原近くをツバメが飛んでいきます。よく見ると腰の白いイワツバメも混じっています。関戸橋の下に吸い込まれていく様子を見ると、どうやらそこで繁殖しているようです。昔は山の断崖などに巣を作っていたイワツバメですが、1970年後半からビルや大きな橋の下に巣を作るようになったそうです。アーバンライフを求めたのは人間だけではなかったのですねぇ。
同じ腰が白いツバメが飛んでいますが、翼がもっと長く、尖っているものも混じっています。声もイワツバメのジュルジュルよりもなんだか金属的なビュリリリという感じ。
あ、ヒメアマツバメです!
やったぁ、新しい種類を見つけました! 飛んでいるスピードがあまりにも速いので、写真に収めることができず、ただ見送るだけ。ツバメも撮るのが難しいんだから、ヒメアマツバメなんてなおさらです。
野球場の脇を通り、岸を歩くと、遠くからはギョギョ、キョシキョシキョシ、ゲゲシゲゲシ、ケタケタケタと騒がしい鳴き声。これは「声が聞こえる! 野鳥図鑑」で聞いたことあるぞ……えーとえーと、そうだ、オオヨシキリ!
でも、なかなか姿が見られません。やきもきしていると、上空からヒッヒッヒッと澄んだ声。これは前に聞いて知ってるぞぃ。うちの近所の相模川にもいるセッカ! すかさずカメラを向けました。
でも、かなり小さいセッカ。写ったのはゴマ粒。これじゃ、しょうがないなぁと撮影をあきらめました。
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写真2:オオヨシキリ |
道の突き当たり、交通公園となっているところを通り抜けると広場がありました。
ここでじっとしていたら、いろいろ見られるのではないだろうかと思ったヒヨ吉。眼を凝らすものの、今度は鳥の気配がなくなってしまいました。ようやく対岸の草むらから顔を出したのは、帰化したガビチョウでした。うーん、ちょっと対象が違うんだけどなぁ〜。
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写真3:大きな声で鳴くガビチョウ。関東ではいろいろな場所で見られるようになりました |
順調に種類は増やしていくヒヨ吉。しかし、はっきりと姿が見られません。先月は森の中で姿は見にくかったけれど、じっとしているとじわじわ鳥のほうから寄ってきたりしていたのに。河原の鳥って、実は見にくいのかな〜?
実際に河原を歩きはじめてから「100%!」という言葉に、ちょっと窮屈さを感じ始めました。静けさの中、時折過ぎていくチーリーリーと涼し気なイソシギの声。チーと鳴きながら川面に青い線を引いていくカワセミ。さっきまでぎすぎすした感じで鳥を探していたのに、この2種類の声を聞いていると、なんだかホワンとした気持ちになっていきました…。
穏やかに時は過ぎていき、ヒヨ吉はそれにまったりし始めてしまい……気がつくとぼけーっと川縁で座ってしまいました。
ふと我に返ると、お昼を過ぎていました。ちょっとゆっくりしすぎたようです。ちゃんと鳥を探さなくちゃ。歩き始めようとしたとき、足元にスズメがちょんちょんやってきていました。ふと、モンシロチョウもキチョウもふわふわとやってきました。
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写真4:カタバミに訪れたキチョウ |
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写真5:セイヨウタンポポの蜜を吸うモンシロチョウ |
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写真6:スズメが近くまでやってきました |
へぇ、じっとしているのもいいもんですね。
達成率100%にしようとガチガチになって見ようとしても、鳥たちはきっとそれを察知しているみたいです。いい意味で「どうでもいいや」な感じで歩き始めました。
河原にたたずむアオサギ、ゆらゆらと流れに流れるカルガモ。ちょっと遠いけれど、コチドリもピオピオと鳴きながら飛び回り、時々河原に降りていました。キリキリッとコアジサシが下流に向かって通過。証拠写真は一先ずぱしゃり。
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写真7:河原にたたずむアオサギ。あまりにも動かないので、置物かと思いました |
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写真8:川の流れに身を任せてどんぶらこ状態のカルガモ |
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写真9:コアジサシ。証拠写真レベルですみません… |
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写真10:コチドリ |
へぇ、さっきと通ったときには気がつかなかったけれど、結構います。
ちょっと小高い木を見つけました。よく見ると緑色の実ができています。オニグルミです。大水のとき、上流から流されてきた実が発芽したのでしょうか? 今は何でも撮影するヒヨ吉。オニグルミの実を撮影。
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写真11:オニグルミの実。緑色だと思いのほか目立ちません |
すると、遠くでキィキィと声がします。「お!? チョウゲンボウだ!」
どこどこ? 関戸橋の橋脚にちょっとしたでっぱりがあり、そこにちょこんと止まっています。よく見ると、その橋脚のでっぱり部分は糞で汚れていました。
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写真12:関戸橋橋脚に止まるチョウゲンボウ。どこにいるか、わかりますか?(アイコンをクリックすると画面が切り変わります) |
「ここがチョウゲンボウの定位置かもしれない」
そう思ったヒヨ吉は、しばらくチョウゲンボウを観察することに。
さっき、営巣していると考えたイワツバメの群れ飛ぶ方向をチョウゲンボウがじっと見ていて、しばらくするとぱっと飛び立ちました。イワツバメの群れに突っ込むチョウゲンボウ! 慌てて逃げるイワツバメ! チョウゲンボウは高速で逃げるイワツバメを捕まえることはできませんでしたが、ものすごいドラマを目撃してしまいました(じっと見てしまって写真には撮れませんでした。ごめんなさい(T_T))。
そんな手に汗握るシーンが繰り広げられているとは知らず、橋の上では車がいつものようにビュンビュン通過していきますし、自転車をこいで橋を渡る人は、今日の蒸し蒸しした天気にちょっとだるそうな感じ。そのギャップがなんともおもしろかったです。
まったりから、急に心が騒ぐシーンを見たヒヨ吉は、ちょっと一休みをしようと関戸公園に戻りました。すると、野球場では地元の野球チームが試合をしていました。幼いときに野球にハマったこともあるヒヨ吉。ネット越しに見入ってしまいました。すると上空からまたセッカの声がして、急に懐かしく感じました。
小学生のとき、河原にランドセルを放り出して野球していました。
そういえば、ヒットやファールのたびに大事なボールがなくなってしまって、敵味方関係なくみんなで探しまわったっけ。そんなとき、セッカの声がずっとしていたなぁ。カヤネズミの巣を見つけたり、「あったぞー!」という声で、全員の顔が草むらから飛び出してゲーム再開なんてこと、しょっちゅうでした。
なんだかノスタルジック・モードになりつつ、今日の鳥見は終了。
最初は100%達成を目指していましたが、途中から急にやわやわな探鳥になってしまいました。しかし、それはそれで楽しかったです。時々は「ぎらぎら目線」ではなく、ぽわんとした感じでのんびりお散歩がてらの探鳥をしてみたいなと思うようになりました。
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写真15:ネジバナ。ピンクの花がねじられたような列になって咲いています |
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写真16:足の指先の黄色が特徴のコサギ。飛んでいる鳥の写真は難しい! |
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写真17:多摩川と乞田川の合流地点。今にも降り出しそうな天気でしたが、なんとかもちました |
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写真18:ハシボソガラスの今年巣立った幼鳥。口の中が赤いため、幼鳥だとわかります。親の後を鳴きながら追いかけては餌をねだっていました。じっと野球観戦していたらそばまでやってきました |
6月出現鳥類リスト(東京都多摩市・多摩川関戸橋〜乞田川合流点付近) |
出現鳥類数 |
34種 |
6月注目種達成種 |
21種 |
2006新・見聞種 |
8種 |
番外種 |
2種 |
達成率 |
77%(注目種27種類中) |
番号 |
出現鳥類名 |
300図鑑掲載頁 |
6月注目種 |
2006初見種 |
1 |
カワウ |
22 |
● |
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2 |
ゴイサギ |
29 |
● |
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3 |
ダイサギ |
32 |
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4 |
コサギ |
34 |
● |
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5 |
アオサギ |
36 |
● |
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6 |
カルガモ |
49 |
● |
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7 |
トビ |
70 |
● |
|
8 |
チョウゲンボウ |
87 |
● |
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9 |
コジュケイ |
93 |
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10 |
コチドリ |
109 |
● |
● |
11 |
イソシギ |
134 |
● |
● |
12 |
コアジサシ |
162 |
● |
● |
13 |
キジバト |
164 |
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14 |
ヒメアマツバメ |
177 |
|
● |
15 |
カワセミ |
191 |
● |
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16 |
コゲラ |
202 |
|
|
17 |
ヒバリ |
203 |
● |
● |
18 |
ツバメ |
205 |
● |
● |
19 |
イワツバメ |
208 |
● |
|
20 |
ハクセキレイ |
211 |
● |
|
21 |
セグロセキレイ |
212 |
● |
|
22 |
ヒヨドリ |
218 |
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|
23 |
ウグイス |
244 |
|
|
24 |
オオヨシキリ |
251 |
● |
● |
25 |
セッカ |
256 |
● |
● |
26 |
シジュウカラ |
269 |
|
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27 |
メジロ |
272 |
|
|
28 |
ホオジロ |
274 |
● |
|
29 |
カワラヒワ |
286 |
● |
|
30 |
スズメ |
298 |
|
|
31 |
ムクドリ |
300 |
● |
|
32 |
オナガ |
303 |
|
|
33 |
ハシボソガラス |
308 |
|
|
34 |
ハシブトガラス |
309 |
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番外 |
ドバト |
311 |
|
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|
ガビチョウ |
313 |
|
● |
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