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ヒヨ吉が行く2007
バックナンバー2006
まえがき
1月 池や湖沼で
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3月 家の周りで
4月 干潟や田んぼで
5月 新緑の山地で
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7月 高原で
8月 高山で登山
9月 田んぼで・秋
10月 タカの渡り
11月 冬のアシ原
12月 雑木林で野鳥
バックナンバー2005
ヒヨ吉読者の広場
中野さんからのメール

 

1年で120種類の鳥と出会うことは本当に可能なのか?


2月は「海辺でカモメを観察しよう」


      場所: 千葉県銚子市銚子漁港・茨城県神栖市ほか
日付: 2006年2月26日(日)



読者のみなさん、こんにちは。BIRDER編集部のヒヨ吉です。

「目指せ 年間120種!」でがんばっております。中野泰敬氏著「1年で120種の野鳥と出会える本」(文一総合出版 1,400円+税)によれば、2月は「海辺でカモメを見よう」。どこがいいかと悩んでいたら、たまたま編集部に遊びにきていた♪鳥くんこと、永井真人さんが「やっぱ、カモメ見るなら銚子っしょ?」というので、千葉の東端、銚子へ行ってきました!

ヒヨ吉はカモメ類の識別に不安があるので、最近知り合った四国出身の大学生バードウォッチャーK氏と茨城で精力的に野鳥観察しているSワロフスキー光学機器メーカーのT氏を誘って銚子へ行ってきました。当日は、かなりの大粒の雨が叩きつける超悪天候。前の日は晴れていたのに、なぜこの日に雨が降るかな〜。いったい誰ですかね、雨男は(笑)。


冷たい雨の中、とっても寒そうなカモメたち。ヒヨ吉の心も寒かった…


さてさて、まず最初に着いたポイントは、右岸の堤防を観察できる場所(写真1)。ぱっと見た感じでは、黒いボーリングのピンのような形の鳥が、堤防上にずらり。カモメ類は基本的に白いはず……。あー、ウだぁ。でも、よく見るとまだ見ていないウミウでした(写真2)。1種類、ゲット! 図鑑を見ると、背中の羽の色が緑色の光沢があるとのことですが、風上にいたので、みなこちら向き。眼の周囲の黄色い部分で識別しました。


写真1:利根川右岸からの風景
  写真2:ウミウ


目標のカモメ類をちゃんと見なくてはねと、観察開始。幼鳥はどれもよく似ているので、ひとまず成鳥を見分けようと望遠鏡をセット。

まず、嘴の先端が赤と黒で特徴的なウミネコ成鳥(写真3)を観察。そして体がどぼーんと大きいセグロカモメ(写真4)。このへんまでは難なくクリアーです。遠くて撮影できなかったのですが、堤防の上では、オオセグロカモメ、ユリカモメ、カモメ、シロカモメが確認できました。カモメとシロカモメは新しい鳥。へへへ、やりました。


写真3:ウミネコ成鳥。嘴の先が黒と赤のまだら模様
  写真4:セグロカモメ。ちょっと目つきがきつくてコワい


ふと、隣で望遠鏡をじーっと覗き続けるK氏に気づきました。何を見ているのかなと聞くと、「ワシカモメとミツユビカモメがいますね」と。うぉ!? どこどこ? あー、ホントだ、堤防の両端にワシカモメの亜成鳥とミツユビカモメの成鳥の冬羽が止まっています。すごい、こんなの見つけちゃうんだぁ、この人。なんかジェラシーの吹き荒れるヒヨ吉、対岸を見つめてクロツラへラサギ、利根川河口水面を見てヒメウを確認(写真5)。


写真5:利根川河口部を泳ぐヒメウ。岸の近くには寄ってきませんでした


T氏が「波崎に行くと、別の種類がいるかも」とのことで、移動。利根川左岸河口部で、ハジロカイツブリが3羽浮いていました。1羽は目の後ろの金色の羽が数本あり夏羽になりかけていました。写真に撮ろうとすると、すぐに潜ってしまうし、雨がひどくなってきて私の秘蔵ッ子Eos Kiss Digital Nを濡らしたくないしで、カメラには収められず。うーん、残念。でも新しくオカヨシガモやスズガモなどを確認できました。

波崎の製氷場付近とその近くにあった網置き場でカモメの群れを発見。じっくり見ると、全身はほぼ白い憧れのシロカモメの2年目若鳥(写真6-1)とミツユビカモメ(写真7)を発見しました。今度は近かったので写真に収められました。ミツユビカモメは、手前にセグロカモメ幼鳥がいたので、全身がちゃんと撮影できませんでしたが、黒くて短い、とってもかわいらしい足を見られました。ミツユビカモメの足、かわいいですよ、本当に。


写真6-1:シロカモメ2年目若鳥。シロカモメが一番白い時期のように思います
  写真6-2:こちらがシロカモメ成鳥。翼の先端部分(初列風切)が白いことに注目

写真7: ミツユビカモメ。なぜミツユビカモメは「ミツユビ」で、ミユビシギは「ミユビ」なのでしょう? どなたかご存じないですか?


とにかく天候が大荒れの日。もう引き上げようかと思ったとき。T氏が「天気が荒れた日には、外洋の鳥が避難してくるかもしれないから、茨城の海岸線をまわってみようよ」というので、ポイントを定めずに探ることにしてみました。

砂浜のある海岸線では、シロチドリを発見。特徴である翼の白線を見ることができましたが、風が強くて撮影どころではありませんでした。いつかゆっくり出会いたいな。

さて、ある港に入ったところ、奥の方からこちらへ近づいてくる大きなカモのような鳥を発見(写真8)。とにかくでかい。ウミネコよりも大きなカモって何? 叶内拓哉著 日本の鳥300図鑑(文一総合出版 1,000円+税)を調べても、同じ鳥は見つかりません。むむむ、あれ、何?


写真8:ずんずんこちらに近づいてくる大きな鳥の正体は……(バックのウミネコやセグロカモメとの大きさの違いに注目)


「ハシジロアビですね〜」とT氏とK氏。そうか、これが世界最大のアビ、ハシジロアビか! 主に外洋で生活するこの鳥は、なかなか会えない鳥だということは以前に聞いたことがあり、長距離フェリー船に乗らないと見られないと思っていた鳥。感激でしたが、どうして港へ入ってきたのでしょう?

帰宅後にいろいろ図鑑を調べると、天気が荒れて波が高くなったりすると内湾や港などに避難することもあるとありました。なるほど。天気が荒れたらから鳥見は休みなんて、あり得ないのですね〜。これからは「天気が荒れたら、港へ行こう」です。野鳥観察はある意味で「全天候型」。軟弱バードウォッチャーヒヨ吉、これからどうなってしまうのでしょう?

さてさて、このハシジロアビですが、やや元気がないようでした。陸に上がったり(写真9)、岸壁に寄り添ってじっとしていたりしていましたし(写真10)、よく見ると嘴から何か粘液のようなものを時々垂らしていました。風邪でもひいているのでしょうか。ちょっと今後が心配でした。


写真9: 陸に上がるハシジロアビ。興奮のあまり、手ぶれがひどい画像に(すみません……)
  写真10: こちらもハシジロアビ。弱っているせいか、目をトロンとすることもありました


厳しい天候の中での野鳥観察でしたが、とても楽しく、意外な出会いを楽しむことができました。この日のカモメ類確認数は、合計8種。


さてさて、ヒヨ吉カモメクイズの当選者発表です! なんと、応募者多数の中から見事正解を答えられた方はたったの1名! 「鳥取県在住の吉田良平様」大正解。おめでとうございます! ヒヨ吉からプレゼントをお送りさせていただきます。


  左:フィールドノートのスケッチ。それぞれに特徴ある鳥たちの嘴をよ〜く観察した一日でした



2月出現鳥類リスト(千葉県銚子港・茨城県波崎ほか)
出現鳥類数 27種
2月注目種達成種 13種
2006新・見聞種 13種
番外種 0種
達成率 57%(注目種19種類中)

番号 出現鳥類名 300図鑑掲載頁 2月注目種 2006初見種
1 ハシジロアビ なし  
2 ハジロカイツブリ 13  
3 カンムリカイツブリ 15
4 ウミウ 23
5 ヒメウ 24  
6 アオサギ 36    
7 クロツラヘラサギ 40  
8 カルガモ 49  
9 オカヨシガモ 53  
10 ヒドリガモ 54  
11 スズガモ 60
12 トビ 70  
13 オオバン 105    
14 シロチドリ 111
15 ユリカモメ 149  
16 セグロカモメ 150  
17 オオセグロカモメ 151  
18 ワシカモメ 153
19 シロカモメ 152
20 カモメ 154
21 ウミネコ 155  
22 ミツユビカモメ 157
23 ハクセキレイ 211  
24 ヒヨドリ 218    
25 ツグミ 243    
26 ムクドリ 300    
27 ハシブトガラス 309    
△:余裕があれば覚えたいカモメの仲間
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