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ヒヨ吉が行く2007
バックナンバー2006
まえがき
1月 池や湖沼で
2月 海辺で
3月 家の周りで
4月 干潟や田んぼで
5月 新緑の山地で
6月 河原で
7月 高原で
8月 高山で登山
9月 田んぼで・秋
10月 タカの渡り
11月 冬のアシ原
12月 雑木林で野鳥
バックナンバー2005
ヒヨ吉読者の広場
中野さんからのメール

 

1年で120種類の鳥と出会うことは本当に可能なのか?


5月は「新緑の山地で鳥たちのさえずり耳を傾けよう」


      場所:山梨県北杜市井富湖〜飛沢溜池周辺
日付:2006年5月28日(日)



読者のみなさん、こんにちは。120種目指すという理由にかこつけて、いそいそわくわく鳥見に出かけているBIRDER編集部のヒヨ吉です。

今回は「新緑の山地」ということで山梨県井富湖へ行ってきました。

この場所に初めて行きましたが、JR小海線甲斐大泉駅に近くて便利な探鳥地。10分程度ですが単線のディーゼル列車に乗って行くのが、旅情感溢れてよかったです。車の方は「日本の探鳥地【関東・甲信越・北陸編】(文一総合出版)」のP126に地図が出ておりますので、そちらをご覧ください。

1年で120種類の野鳥と出会える本」によると、5月は「さえずりを聞く」のがポイント。野鳥のさえずりは「声が聞こえる!野鳥図鑑(文一総合出版)」と「サウンドリーダー」を事前に聞いて、鳥たちのさえずりを耳に聞き慣らしてから行きました。



当日の朝、出発したときは雨がパラつく天気だったのに、JR小海線始発駅の小淵沢駅に到着するなりスカッと青空が出てとても良いお天気! あー、お天気の神様、感謝、感謝です!

まず、駅で双眼鏡を出して井富湖を目指しました。井富湖に到着して「おお!?」と思いました。『湖』とありましたが、実際はこぢんまりしたかわいい溜池。でも、水辺ぎりぎりまで木々が茂り、生き物たちにはすみやすそう。季節が合えばトンボ類も楽しめそうな雰囲気でした。


写真1:周囲の緑が美しい井富湖の風景


さて、望遠鏡とカメラをセットして探鳥開始。早速、イカルがキコキコキーと鳴きながら小さな波形を描きながら上空を飛んでいく姿を見ていると、その遠くでピリリィ、ピリリィとサンショウクイが鳴いていました。

最近、私の地元神奈川では珍しくなってしまったサンショウクイ。一目見ようと声の方向を探しましたが、見られず。残念だな〜と思っていたら、けたたましくケレケレ……とキツツキ類の声が。しばらく待って出てきたのはアオゲラ。木々の切れ間からようやく見えたその姿は、コナラの木の高いところに止まっているところでした。

しかし、カメラを向けると、すっと隠れてしまいました。アオゲラがまた見やすいところに出てこないかを待っていると、カラ類の群れがやってきました。群れの中には、メジロ、ヤマガラ、ヒガラ、シジュウカラ、エナガ、コガラがいました。エナガの中には眉の線が太い幼鳥も混じっていました。


写真2:シジュウカラ


カラの群れに気を取られていたら、いつのまにかアオゲラの気配も消えていました。 しまった〜! すると、森の奥からきれいな鳥の声。むむ、これもサウンドリーダーで聞いた覚えがある……。

声の主はふわっと目の前の小枝に止まりました。黄色い腰! わわ! キビタキ!!!

思わず手が震えて、せっかく近くに止まっているのにブレブレの写真しか撮れませんでした。私がじっとしていたために、キビタキの雄は私に気づかなかったのでしょうか? 目の前の枯れ枝でさえずったり、虫を捕えたり(緑色のイモムシがつーっとヒタキの眼の前に下がってきたので、それをぱくり、でした)、羽づくろいをしたり。ゆっくりと堪能させてもらいました。


写真3:(該当写真をクリックて拡大)キビタキが目の前の枝に止まりました! 興奮のあまり手が震えて写真はボケボケ……


キビタキのさえずりの近くから、オオルリらしき声がします。でも、オオルリは渓流沿いの木のてっぺんが好きと図鑑に書いてあったと記憶しています。沢もない、ただの林の中に本当にオオルリはいるのかなと半信半疑ながら探すこと数分。

いました、オオルリ。しかも木のてっぺんではなく、林の中の枯れたアカマツに止まって鳴いていました。

目立ちたがりの鳥だと思い込んでいただけに、このような場所でさえずっているのは違和感がありましたが、でも、これも「オオルリ」の姿なんだなと思いました。図鑑をいい意味で「疑う」ことも大事ですね。


写真4:林の中で鳴いていたオオルリ。ちょっとシャイなのかな?


森の中で、しばらく耳を澄ましていると、本当に多くの鳥がさえずっていることがわかりました。

ツッツッツッツと前奏が入った後にピーチュリピーチュリヒーと鳴くコルリ、キョロンキョロンキコキコーキと聞こえるのはクロツグミ。チユチユビーと最後が濁るのはセンダイムシクイです。その合間合間に茂みの中からは「シシシシ……」とヤブサメの声がしました。

しかし、鳥たちの声はすれども姿はなかなか見えず。

ヒヨ吉、ちょっと不完全燃焼。姿が見たい! そんな気持ちで道を進んで行くと、シャッシャッシャとかわいらしい声が森の中から聞こえます。なんだろうと思ってしばらくあたりを見渡すとアカゲラの巣が。ちょうど雄が巣穴に戻ってきたところでした。

これは親鳥を驚かせてはいけないので、一枚だけ写真を撮ってそーっと立ち去りました。


写真5:アカゲラの雄。頭の赤い羽がリボンをしているように見えます。虫をくわえて、今まさに巣穴に入ろうとしています
  写真6:コゲラ


アカゲラの親子を刺激しないようにそっと離れてしばらく歩くと、飛沢溜池に到着。ちょっと緊張して歩いたせいか、なんだか疲れてしまいました。

あずま屋で一休みしていると、コゲラがコツコツと木をたたく音、そしてその後、カッコウ、ツツドリ、ホトトギスの声がしました。図鑑のカッコウ科の鳥たちのページと今日出た鳥の記録をパラパラと眺めていたら、ああ! と思いました。

アオジがいて、センダイムシクイがいて、ウグイスがいました。カッコウ、ツツドリ、ホトトギスが托卵する相手がちゃんといます。ジュウイチはコルリに托卵するようですから、粘っていればカッコウ科4種はここで全て記録できるかもしれません。いない鳥の生息する可能性を、ほかの鳥が教えてくれる、とても良い例のように思います。


声を楽しむ。会えなくても、ほかの鳥から予測する。それが、よく鳴く夏の鳥たちの愉しみ方なのかもしれないと感じた、気持ちのよい木漏れ陽の中での観察でした。

花もたくさん咲いていました。


写真7:フジの花
  写真8:キリの花

写真9:ヤマツツジの花も見事
  写真10:林床にはマムシグサはサトイモ科の植物。有毒なので注意!

写真11:鳥の餌ともなるガ。こういう生き物が多く生息することが大事です
  写真12:帰りに寄った北杜市内のコンビニでは、ツバメの雛が育っていました


おまけ:白州にある薮内正幸美術館も近いので寄ってきました。


写真13:私の大好きな看板。これを見ると「来たな〜」って感じますネ
  写真14:冬枯れだった2005年秋のときに比べ、周囲の緑がまぶしかったです

『くちばし どれが一番りっぱ?』(福音館書店)刊行記念原画展を開催中です。薮内正幸画伯代表作の絵本用原画を見られる貴重な展示会です。7月25日までの展示ですので、お時間のある方はぜひ。

詳細はhttp://yabuuchi-art.main.jp/へ。原画のもつ迫力に触れてください!



5月出現鳥類リスト(山梨県北杜市井富湖〜飛沢溜池)
出現鳥類数 32種
5月注目種達成種 17種
2006新・見聞種 23種
番外種 0種
達成率 77%(注目種22種類中)

番号 出現鳥類名 300図鑑掲載頁 5月注目種 2006初見種
1 キジバト 169    
2 カッコウ 174
3 ツツドリ 175  
4 ホトトギス 176  
5 アオゲラ 195
6 アカゲラ 199
7 コゲラ 202  
8 ツバメ 205  
9 キセキレイ 210  
10 サンショウクイ 216  
11 ヒヨドリ 218    
12 コルリ 231
13 クロツグミ 236
14 ウグイス 244
15 ヤブサメ 245  
16 センダイムシクイ 251  
17 キビタキ 257
18 オオルリ 258
19 エナガ 263
20 コガラ 265
21 ヒガラ 267
22 ヤマガラ 268
23 シジュウカラ 269  
24 メジロ 272    
25 ホオジロ 274  
26 アオジ 282
27 カワラヒワ 286    
28 イカル 295
29 スズメ 298    
30 ムクドリ 300    
31 カケス 301
32 ハシブトガラス 309    

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