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今回は多摩川でササゴイを見た! けれども… |
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場所:神奈川県川崎市多摩区宿河原堰堤
日付:2005年7月28日(木) |
読者のみなさん、こんにちは。バーダー編集部のヒヨ吉です!
今回は東京都と神奈川県の境を流れる多摩川の宿河原堰堤(しゅくがわらえんてい)へ行ってきました。通勤途中に電車の窓から見える多摩川。いつかゆっくりと歩いて探鳥したいと思っていました。今日のねらいはササゴイ。水辺に飛来するサギの一種で、都心を流れる多摩川でも、堰堤などで餌取りをする姿がよく見られる夏鳥です。
まず到着して驚いたのは台風7号の影響で予想以上に増水していたこと。けっこう太い枝などが混じった濁流がごうごうと音をたてて流れていました。
堰堤の上にはカワウが群れていました(写真1)。水量が多いうえに水が濁っていては、餌が捕りにくいのでしょうか。水に入っても、すぐに堰堤に戻っていました。ひょっとしたら暑さしのぎに体を濡らしているだけだったのかもしれません。
ウたちは、口を開けて喉をふるわせ、体温調節をしますが、30℃を超える気温と黒い羽毛による太陽熱吸収で、相当暑そうでした。私も、ペットボトルの水が瞬く間になくなりました。気温計は、なんと36℃をさしていました。
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写真1:「暑いよ〜!」と声が聞こえそう…
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あまりの猛暑に木陰を探して歩いていたら、聖牛(写真2)を見つけました。
解説板を見ると、川の中に設置して、増水時などに流木が直接ぶつからないようにする道具だそうです。三角錐形に組んだ木を横に寝かせ、石を入れた蛇籠で押さえつける単純な構造で、古くから使われてきた工法ですが、治水に力を注いだ武田信玄がより強固なものにさせたそうです。
現在は治水の意味合いだけでなく、魚や水生生物が生息できる伝統河川工法として見直され、注目されているようです。
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写真2:先人の知恵が凝縮している聖牛
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橙色のきれいなクルマユリが咲いてました |
神社の木陰で一息ついた後、カワウ以外の鳥を探してみると、堰堤脇にある魚道の上を飛び回るセグロセキレイ(写真3)を見つけました。水面近くを低空飛行しては、虫を捕まえていました。日本では河原に普通に生息する鳥ですが、世界的には日本にしかいない珍しい鳥です。それを象徴するかのように、英名ではJapanese
Wagtail(日本のセキレイ)。
以前イギリス人バードウォッチャーといっしょにセグロセキレイを見たとき、彼がすごく興奮していたのを思い出しました。
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写真3:日本にしかいないセグロセキレイ |
さて、目的のササゴイですが、この日は水量も多く、水が濁っていたせいもあって、堰堤では漁ができないと判断したのでしょう。まったく気配がありません。
少し下流へ歩いてみました。遠くの中州で1羽をようやく発見。流れが緩やかになった所で、魚をねらっていました。でも、まったく成果がないようで、あちこち飛び回ってはポイントを探っていました。
人間にとっても被害がでるとたいへんな台風ですが、カワウやササゴイなどの水鳥たちも、水量が安定するまで、餌取りはたいへんなんだなぁと痛感した1日でした。
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