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役に立ってはいけない? 海鳥救助技術…2/4 |
2006年6月に知床を訪問したのには、もう一つの理由がありました。野生動物救護研究会会長でウトナイ湖野生鳥獣保護センターに勤務の盛田徹氏や猛禽類医学研究所の渡邊有希子氏のご指導のもと、重油に汚染された海鳥を洗浄する方法の講習会を受けられるというのです。
役に立つ機会は本来あってはならないことですが、いざというときのために身につけたいと思い、講習会へ足を運びました。滅多にない貴重な機会でしたので、皆さんにも報告します。
今回、動いている鳥の洗浄方法も学ぶため、生きている鳥の代表としてアイガモ君に協力いただきました(注:もし皆さんが重油汚染の鳥を洗浄する際にも、このように必ず専門家の指導を受けてから作業をしてください。)。
重油に汚染された鳥を救護したとき、まず行うことは詳しい発見場所(できればGPSデータが最適ですが、わからなければ「入り口階段から100mほど北に歩いたところ」など、わかりやすく記録してください。)、時間、保護個体以外の重油汚染鳥の有無などをきちんと記録しておくこと。この記録は、今後、どの程度の海鳥が救護される可能性があるのかの目安にもなりますし、専門家を派遣して、状況の把握をすばやく行うことができるなど、救護対策が早く立てられるようになります。
連絡先:
特定非営利活動法人野生動物救護獣医師協会
作業の参考になるサイト:
The Resucue Report 油汚染海鳥の救護法について(中津動物病院中津賞)
洗浄作業には多くの道具が必要です。鳥は洗浄中にもがくため、とても一人で作業はできません。また、記録係や洗浄後の鳥の様子の確認などを複数の人間で行います。重油汚染された鳥を一人で洗浄することは絶対に控えましょう。
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写真5:作業を行うためには、これだけの道具が必要 |
まずは保護した鳥が洗浄に耐えうるコンディションかどうかをチェックします。血液による栄養条件の確認のほか、口の中をチェックし、重油等を呑み込んでいないかを確認します。健康診断の結果、洗浄に耐えうる体力のある個体(あるいはそこまで体力を復活させた個体)を洗浄します。
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写真6:嘴の根元を親指と人差し指で押さえると、嘴が少し開けてから大きく開きます。この方法は傷病鳥を保護したときに強制給餌が必要な場合にも役立ちます |
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写真7:青い布は鳥が暴れないようにするために撒いています。これは犬猫用のものですが、タオルのようなもので翼を固定して体重測定もします |
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写真8:スポーツドリンク等を飲ませることで体力の回復を計ることもできますが、これも獣医さんの指導を受けてから行いましょう。間違えて気管に入らないように管を使って直接流し込む方法がいいようです |
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