傑作を撮るには “傑作”と呼べる飛翔写真とは 【小堀文彦】

傑作を撮るには “傑作”と呼べる飛翔写真とは 【小堀文彦】

文・写真 小堀文彦

傑作と呼べる飛翔写真とは

「傑作」と呼べる飛翔写真とはなんだろう。
珍しい鳥の飛翔が撮影できれば、確かにそれはそれで価値あるものだろう。
しかし、私はそれだけではない価値を飛翔写真に映しとることを追求したいと考えている。
その価値とは「鳥の意思」だ。当たり前だが、鳥は生きるために自らの意思で飛んでいるのだ。

巣材を集めるために不規則な軌道を描いて舞い降りるキジバト。翼の動きと身体の傾き、目線から「着地するぞ」という明確な意思が読み取れる

写真になる“瞬間”を予知する

「プリ撮影で連写すれば、飛翔写真は成功する」と思われがちだが、「なぜ飛び出したのか」がわからなければ、鳥の意思を感じる作品は生まれないだろう。
もし、カメラを向けられたことに気づいて飛び出したのであれば、鳥の意思とはいえ自然ではなく、それは単にたまたま撮れただけだ。

“傑作”への第一歩は、出会った鳥をじっくり観察し、「次に何をするか」を読むことでもある。
例えば鳥のこんな仕草や行動が、次の行動に移るサインになる。

・視線の先に枝がある
・ペリットを吐き出した
・ウンチをした
・虫を眼で追っている

以上に加え、止まり木の角度、風向き、複数の個体がいれば、個体同士の関係性、くり返している行動なども重要な観察ポイントになる。ファインダー越しでも読み取れる手がかりはいくつもあるはずだ。
これらをもとに次の行動が予測できたら、鳥を追うのではなく、待って撮影の機をうかがう。