海鳥のトイレ事情を解明 - 東京大学大気海洋研究所(2025/8/19)

排泄のタイミングを腹部カメラで観察
東京大学大気海洋研究所の上坂怜生特任研究員と佐藤克文教授は、動物装着型のビデオカメラを用いて、広大な海で生活する海鳥の排泄行動を記録・解析しました。海鳥の糞は、窒素やリンなどの栄養塩が大量に含まれているだけでなく、鳥インフルエンザウイルスなどの病原体を媒介する存在でもあります。しかし、広い海に生息する海鳥の排泄行動を直接観察し続けるのは困難なため、海鳥がどのような頻度とタイミングで糞をしているのかは不明でした。本研究チームはオオミズナギドリの腹部に小型ビデオカメラを装着して排泄腔の付近を撮影し続けるというユニークな方法でこの課題に取り組みました。
本研究でビデオカメラを装着したオオミズナギドリは、4~10分の間隔で糞をしており、正確な周期性を保って排泄を行っていました。また、ほぼすべての排泄が飛行中に行われており、着水中であってもわざわざ一度飛び立ってから海上に糞を落とすという特徴が確認されました。これらの知見は、海鳥が糞を通じて海洋に供給する栄養塩の量を評価するための重要な基盤になるほか、海上での鳥インフルエンザの感染経路をより詳しく知ることにもつながると考えています。
本研究成果は、2025年8月16日に『Journal of Ornithology』誌でオンライン公開されました。
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東京大学 大気海洋研究所
20250819|学術ニュース|東京大学大気海洋研究所
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