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心にいつも海鳥を - 『潮風に吹かれて』編


役に立ってはいけない? 海鳥救助技術…3/4


洗浄は、重油流出の被害で保護されることもあるアカエリカイツブリ(冷凍死体を解凍したもの。これは重油汚染で死亡した個体ではありません)で練習しました。


写真9:洗浄実演に使われたアカエリカイツブリ。洗浄中に嘴でつつかれないようにするために、2〜3本の綿棒のようなものを嘴にかませておくと洗浄を担当する人は怪我が防げます


湯(40〜42℃)で洗うのですが、ごしごし洗うのではなく、油で汚れた体を大きめの浴槽に頭を出した状態でどっぷりと浸けて、その中で手を動かして流れを起こして洗います。目の周囲等は歯ブラシ等を毛並みの方向に優しくなでるように動かしながら、完全に油分を落とします。

油分が残っていると、羽づくろいをしているときにそこから油分を再び広げてしまう可能性が高いので、足の付け根や鱗の隙間、嘴の根元の隙間なども必ず完全に除去されていることを確認することが大事です。重油の洗い方を学ぶため、墨汁をつけて練習することもあります。


写真10:たっぷりのお湯で、手で流水を起こして洗浄します。ごしごしこすると羽の構造が壊れてしまいますので、絶対にしないでください


さて、洗浄が終わったら次はすすぎです。シャワー状に広がるようにしたたっぷりのお湯の流水でしっかり洗剤を落とします。洗剤が染みて濡れ鼠のようになった羽毛が、見る見るうちにはじくようになります。


写真11:ビールケースを逆さまに重ねたものを台にして洗うと、汚れた水がそのまま下に流れて作業が効率化します

写真12:たっぷりとしたお湯で洗うのが、作業の効率化では重要

写真13:足の根元や肛門付近はすすぎ残しが多いので注意


すすぎが終わったら、水分をタオルでやさしく拭き取ります。すすいでいる途中で水は自然にはじくようになるので、表面的に拭き取るだけで十分です。


写真14:タオルに重油の黒い汚れがつけば、はじめから洗い直しです。鳥の負担にもなりますから、一度で洗い終わるように複数の人で洗い残しがないかを確認しながら作業します


次にドライヤーを使って羽を完全に乾かすのですが、これには工夫が必要です。ずっと手で持って乾かすのではなく、ドライヤーの温風を箱の中に流して乾かしますが、下から風を送り込む方法をとります。


写真15:塩ビパイプで枠を作り、やわらかいネット上のものを張ります。イメージとしてはちょうど網状のトランポリンの上に人が乗っているような状態を作る感じです


写真15のような台座を作って箱の底にいれ、箱底に横穴を開けてドライヤーの温風が入るようにします。海鳥は海上生活のため足がこすれることに弱いため、ネットの上のようなやわらかい素材の上に体を置くことが大事です。


写真16:鳥が入るとこんな感じです。乾燥中は上にシーツ等をかけて鳥が落ち着くようにします


今回紹介した手順はほんの概略です。実際に作業に加わる場合は事前に必ず講習を受けてください。また、地域によってやり方がさまざまです。作業現場の指示に従ってスムーズに作業が進むようにしましょう。現場では1羽でも多くの命を救うために、皆が協力することがいちばん大切です。



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