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心にいつも海鳥を - 『潮風に吹かれて』編


役に立ってはいけない? 海鳥救助技術…1/4


読者の皆さん、こんにちは。BIRDER編集部ヒヨ吉です。第6回からしばらく時間が空いてしまいましたが、ようやく更新です (^_^)g おまたせしました!

実は、連載開始当初から触れなくてはならない内容と思いながら、どんな文章にすればいいのか、ずっと迷っていたものがあります。それは、『海鳥を救助する技術』についてです。


2006年2月、日本の重油流出事件で最悪の被害を出した事件が起こりました。まだ多くの方々のご記憶にもあるでしょう『知床油汚染海鳥(大量)漂着事件』です。

流氷と前後して流れ着いたと思われる、重油まみれのおびただしい数の海鳥たち。事件が発覚した当初から、ヒヨ吉はこのことが気になっていました。何か手助けをしたいと思いつつも、対処方法等をまったく知らない私のような人間は、現場では足手まといになってしまうだけなのではと躊躇してしまい、当時はただニュースを収集するだけでした。

しかし、同じころ海鳥識別ハンドブックの編集をはじめたことで、「これはやはり、何か動き出さなくてはいけない」と思い、2006年6月に勇気をもって知床へお邪魔しました。今回はそのときのお話です。





待ち合わせ場所のJR知床斜里駅では、日本野鳥の会オホーツク支部の川崎康弘氏と渡辺義昭氏が待っていてくださいました。重油まみれの海鳥が発見されたときに、行政の方々と綿密な連絡を取りあって、被害状況の把握のために尽力されたお二人です。


ヒヨ吉が知床に行ったのは事件が発覚してから4か月が経っていました。ニュースでも取り上げられることもなくなっていましたし、回収作業はもう行っていないとの情報を得ていたので、きれいな海岸が戻っているものとばかり思っていました。しかし、川崎氏と渡辺氏から衝撃の説明をうけました。

川崎氏「実はまだ被害状況の把握には時間がかかりそうなのです」
ヒヨ吉「え!?」(;゚Д゚)!

ウトロの海岸をいっしょに歩いてみて、その言葉の意味がわかりました。この海岸は岩がゴロゴロと転がっている場所。この岩と岩との隙間に答えがありました。


写真1:岩がゴロゴロしている知床ウトロの海岸


岩の間に漁網や漂着物などのゴミが挟まっていて、それを一つ一つ確認していきます。


写真2:漂着物の多い場所では、このような状況


そのゴミのなかにべっとりとした黒い重油の塊があるのです。そしてその塊をひっくりかえして一つ一つをよく見ると、写真3のように海鳥の羽毛が見つかります。


写真3:ゴミに絡まって混じる重油まみれの羽毛


そして最悪の場合では、写真4のように鳥がまるまる一体出てくるのでした。これはエトロフウミスズメです。流氷もすでに去っているのに、犠牲になった多くの海鳥たちの亡骸が未だ残っているのは、この事件の深刻さを物語っていました。

海鳥の死体回収の素人のヒヨ吉でも簡単に死体が見つかるのですから、一体何羽の死体がこの浜にあがったのだろうと思うと胸が締め付けられました。また、極寒の中で回収作業をされた一人一人の皆さんに、鳥好きの一人として感謝の気持ちを伝えたくなりました。


写真4:このように出てきます。鼻をつく重油の臭いがプーンとしてきました。重油は人体に悪影響を及ぼす危険な物質です。回収作業ではマスクとビニール手袋は必須道具です


事件発覚から時間が経ち、ヒヨ吉の中ではすでに過去のものになりつつあった知床油汚染海鳥(大量)漂着事件でしたが、2006年6月当時はまだ現在進行形であることに驚きました。



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