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ヒヨ吉が行く2007
バックナンバー2006
まえがき
1月 池や湖沼で
2月 海辺で
3月 家の周りで
4月 干潟や田んぼで
5月 新緑の山地で
6月 河原で
7月 高原で
8月 高山で登山
9月 田んぼで・秋
10月 タカの渡り
11月 冬のアシ原
12月 雑木林で野鳥
バックナンバー2005
ヒヨ吉読者の広場
中野さんからのメール

 

1年で120種類の鳥と出会うことは本当に可能なのか?


9月は「干潟や田んぼで、サギの仲間やシギ・チドリ類を観察しよう」


      場所:神奈川県県央地区(伊勢原市・平塚市・寒川町・海老名市)
日付:2006年9月2日(土)



読者の皆さん、こんにちは。BIRDER編集部のヒヨ吉です。(^_^)

1年で120種類の野鳥と出会える本(文一総合出版)」で、9月のポイントは4月と同じ干潟や田んぼでサギやシギ・チドリの観察。特にシギ・チドリ類は「旅鳥」といって春は南からシベリアなどの北の繁殖地へ向かう途中、秋は北から南へ渡る途中に日本の干潟や田んぼに立ち寄っていくのですが、それを見ようと言うワケ。

今年の春は、風が強くて全然まともに観察できなかったので、今回は半年ぶりのリベンジです! でも、当日はホントに暑かった〜。


前回は茨城県まで出かけましたが、今回は地元神奈川県での挑戦。しかし、シギ・チドリの姿はどれもよく似ていて識別は難しいため、1人では不安がいっぱいです。そんなヒヨ吉を助けてくれたのが、鳥見仲間でBIRDER読者のKTさんとKM君(KM君は「2月は海辺でカモメを観察しよう」でもいっしょに行ってくれました。)。ヒヨ吉の観察に同行してくれることになりました。なんとも心強い!

神奈川県の県央地区は、4月に訪れた茨城県ほどではないのですが、まとまった枚数の田んぼの広がる場所があり、その所々に休耕田があります。そこにサギやシギチが集まってくるとのこと。KTさんが事前に下見をしてくださっていて、ヒヨ吉を次々とポイントへ連れて行ってくれました。


まずはじめに現れたのはキアシシギ。田んぼの畔(あぜ)で休んでいました。図鑑で見るとすぐに見つかりそうな黄色い足が草の中に入ってしまい、ちゃんと見えません。うーん、残念。でも、これは2005年秋に北海道濤沸湖で見たことのある種類なので、ヒヨ吉にもわかりました。

さて、お次は尾っぽをひょこひょこ振って餌をとっていたタカブシギ。キアシシギに似ていますが、小さくて、背中の白斑がきれいです。観察を始めてしばらくの間、タカブシギは俊敏に動き回って撮影できなかったのですが、満腹になったのか、畔の縁でのんびりしはじめました。警戒心が強くて遠くに行ってしまいました(写真1)。


写真1:警戒心の強いタカブシギ。満足のいく写真ではないのですが、なんとか撮影しました(;^_^)


ヒヨ吉にとって、やはり暑い日に聞きたい声はセッカの声ですね。

夏だな〜! と感じるこの甲高い「ヒッヒッヒッヒ……」という声は、僕には最高のBGMなのです。その声がずいぶん近いなぁと思ったら、すぐ近くのオオイヌタデに止まっていました。最近、連続撮影にハマっているヒヨ吉。今回もセッカの動きがなかなかすてきな感じ連写! かわいいを捉えることができました(写真2)。


オオイヌタデに止まったセッカ
何か虫を見つけたのか、葉の裏を気にしていました
また縄張りを見張るセッカ
写真2:ヒヨ吉、今年の写真で、かなりのお気に入りの一枚です


タカブシギとセッカの出現にそれだけで気分がよくなってしまったヒヨ吉ですが、KTさんのシギチめぐりはまだまだポイントがある様子。次に訪れた田んぼでは、もう感激。たった一枚の休耕田なのですが、エリマキシギ(写真3)とセイタカシギがいたのです。


近づいてきました!
3羽も近づいてきました。うれしぃ〜〜〜!

写真3:じっとしていたら近づいてきたエリマキシギ。かわいい〜(^_^)♪



エリマキシギはじっとしていたらこちらに寄ってきました。くりくりとした目がかわいい!

すらっとしたセイタカシギは、チュウサギがいっしょに入るように撮ってみました(写真4)。4月のときは干潟で見たセイタカシギですが、背景が緑の中に鮮やかな赤い脚が映えて見える田んぼのセイタカシギはまた格別ですね。

稲穂の先をそよぐ風の涼しさ、みたいなものを田んぼのセイタカシギに感じるのはヒヨ吉だけでしょうか?


写真4:セイタカシギとチュウサギ。一つの画面に2種類の鳥が入ると急に画面が生き生きした印象を受けます


ちょっと場所を移動すると、乾いた畑にはケリがいました。
写真ではわかりませんが、目が真っ赤で怖い顔をしていました!(写真5)


写真5:乾いた畑にいたケリ。暑さで陽炎がひどかったです…(;´Д`)


3人で観察していたら、これまた鳥見仲間のIさんに会いました。

9月に入ったというのに8月中旬のような炎天下。田んぼの観察は日陰がないので、水分補給は絶対です。お酒好きなIさん。ただの水ではなく、“泡泡麦汁”を欲しそうな顔していました。


だいぶシギチ探しに目がなれてきたヒヨ吉、田んぼの畔近くに黒っぽい塊を発見!
むむむ、あれ、なに?(写真6)


どこにいるか、わかりますか?
ここにいます
写真6:あれはなんだ??


KMさん、しばらく観察して「タシギ」との返事。

「ジシギ類」と呼ばれるこのタシギ、チュウジシギやオオジシギ、ハリオシギは極めてそっくりな姿をしています。完全ギブアップのヒヨ吉です。だって、わかんないものは、わかんない〜! やっぱり、ぱっと見てすぐにわかるコチドリのほうが、心穏やかに観察できますねぇ〜(苦笑)(写真7)。


写真7:頭をひょこひょこ上下させる姿がかわいらしいコチドリ


さて、シギチは田んぼだけではなく、河原にもいることがあるよとのことで、みんなで近くの鈴川河原へ(写真8)。イソシギを観察しました。写真は水浴びを終えて、ちょっと一息のところ(写真9)。

直射日光がしっかり当たる場所での撮影は、なかなかイソシギらしい微妙な羽の色が出ませんね。写真は難しいです。


写真8:鈴川

写真9:ギンギンに太陽が当たる河原のイソシギ。石の色が白くなっていると、そちらに色が引っ張られて写真の色合いは難しいです


もう1か所、相模川にも行ってみようということになり、寒川取水堰へ。

陽炎に揺れるトウネンとイカルチドリを新たに観察。でもそこで意外な出会いだったのが、コブハクチョウ(写真10)。


写真10:カワウとコブハクチョウ。セミの声とハクチョウは違和感アリマス、ハイ


カワウやコブハクチョウに別れを告げて、寒川取水堰から本日最後のシギチポイント、海老名市役所前に広がる休耕田へ移動。やや傾きかけたオレンジ色の太陽のなか、エリマキシギとコチドリの群れ、アマサギとダイサギがのんびりと餌取りをしていました。

何気なく眺めてしまう田んぼですが、ここにシギチドリが集まる田んぼが存在する背景には、休耕田を野鳥の飛来地として活用することに理解を示してくれたJA中央会、JA経済連、海老名市勝瀬生産組合、中部営農組合、県農政部、農水省などの配慮があり、また、実際の運用にあたっている担当職員の努力があるからこそなのです。

海老名市役所前の休耕田は毎年、多くのバーダーが訪れる場所となっていますが、単にシギチが来る場所というだけではなく、多くの方々の協力があって初めてバードウォッチャーが心置きなく楽しめる環境になっていることを、野鳥を観察しながらも心のどこかにとどめておいてほしいものです。


写真11:まだ夏羽の亜麻色の羽が残るアマサギ

 
写真12:群れで休耕田に集うコチドリ   写真13:ゆっくり歩きながら餌を狙うダイサギ


海老名市のシギチが来る田んぼの情報の詳細は以下のサイトをご覧ください。
http://www.mmjp.or.jp/wbsj-k/hogo-kansatu/hogo/hogo98.htm#kansatuden


日中は汗ばむ陽気でしたが、日が傾くと、もう秋の気配。今年巣立ったツバメが、電線で伸びをしている姿は、南への渡りに向けての準備運動をしているように思えてしまいました(写真14)。


写真14:「う〜〜ん」という声が聞こえてきそうなツバメの伸び


本当に楽しい田んぼ巡りのシギチ観察は、心の底から、気持ちのよい探鳥でした。

シギチが見られる田んぼがあるということ。それは、田んぼを守ってくれている農家の皆さんがいるからです。そういう基本的なこと、忘れたくないです。ヒヨ吉、お米をしっかり食べます。


美しい稲穂の海
撓わに実った稲穂
写真15:稲穂はこれからどんどん黄金色になっていきます。田んぼはいつの時季も美しいですね


[謝辞]
暑い中、ヒヨ吉のわがままを快く聞いてくださったKT さん、KMくん、そして途中から合流したIさん、すばらしいガイドをありがとうございました。心より御礼申し上げます。m(_ _)m


[注意]
休耕田の本当の名称は生産調整田と呼びますが、ここではバードウォッチャーがよく使う休耕田と便宜上使いました。(今回もあるよ! ヒヨ吉おまけページにゴー!)



9月出現鳥類リスト(神奈川県伊勢原市・平塚市・寒川町・海老名市)
出現鳥類数 37種
9月注目種達成種 22種
2006新・見聞種 10種
番外種 2種
達成率 41%(注目種53種類中)

番号 出現鳥類名 300図鑑掲載頁
9月注目種
2006初見種
1 カワウ 22
2 ゴイサギ 29
3 アマサギ 31
4 ダイサギ 32
5 チュウサギ 33
6 コサギ 34
7 アオサギ 36
8 マガモ 48
9 カルガモ 49
10 トビ 70
11 コチドリ 109
12 イカルチドリ 110
13 ムナグロ 114
14 ケリ 115
15 トウネン 123
16 ヒバリシギ 120
17 エリマキシギ 126
18 タカブシギ 131
19 クサシギ 132
20 キアシシギ 133
21 イソシギ 134
22 タシギ
23 セイタカシギ 145
24 キジバト 169
25 カワセミ 191
26 ヒバリ 203
27 ツバメ 205
28 ハクセキレイ 211
29 セグロセキレイ 213
30 セッカ 256
31 ホオジロ 274
32 カワラヒワ 286
33 スズメ 297
34 ムクドリ 300
35 オナガ 303
36 ハシボソガラス 308
37 ハシブトガラス 309
     
番外 コブハクチョウ 310
  ドバト 311


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